新年のご挨拶に代えて

慶應義塾体育会野球部 監督 堀井哲也

 

 昨年、春季リーグは開幕から粘り強く勝ち点3を積み重ねながら、明治大学・早稲田大学に4連敗を喫し優勝争いから脱落。秋季リーグは勝ち点1の5位確定で迎えた早慶戦で2連勝して目の前での早稲田の胴上げを阻止したシーズンでした。

 結果は全て指揮官である私の責任であり、準備段階からチーム一丸となって全力で取り組んだ部員はもとより、応援してくださる皆様には、この場をお借りして今一度自身の精進をお誓い申し上げます。

 昨年の本間主将や水鳥副将が事あるごとに発言していたのは、最後まで来年以降のチームに想いを馳せて闘う姿勢を貫くことであり、それが締めくくりの早慶戦2連勝に繋がったと信じております。スポーツマンらしい立派な4年生たちでした。

 1983年の米国遠征から帰ってきた後に、故・前田祐吉元監督は「エンジョイベースボール」を提唱しました。当時、その定義づけとして①全力プレー②仲間を思いやる③自ら工夫する(後の前田ノートには④正々堂々とスポーツマンらしくも追記)と力説していました。これらは一朝一夕には実現できないどころか、これで良しというゴールなき挑戦であることは論を待たないでしょう。尚且つ前田元監督はアメリカ大学野球式の部員40人前後の少数精鋭体制を強く望んでおり、義塾野球部は徹底した自己責任による競争の上に成り立つという信念をお持ちだったと推察します。

 当時大学4年生だった私は、以来エンジョイベースボールとは、、、【手を抜くこと、自分勝手な振る舞い、やらされる姿勢が一切許されず、日々結果と向き合いながら自己研鑽と仲間との切磋琢磨を続けていく過程をエンジョイすることだ】と置き換えております。

 今年も新幹部を中心に部員全員で崇高な理念にチャレンジします。

 2025年1月
堀井哲也